60年代末のハイファイ追求ラジオ 東芝GT 工場 ダブル 11M-885F

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このラジオの写真を見て直ぐに何処の何というモデルかが記憶に出てくる方は相当なラジオフリークでしょう。 正確な発売年度は不明ですが恐らく68年頃、東芝の大ヒット2バンド IC-70の少し前に出された物と思われます。IC-70と同じカタログに載っていた記憶が微かにありますので。 ポータブルラジオは何処へでも持ってゆけて気軽にラジオが楽しめるのはメリットだけど音が今一つ、と感じていた方は当時も多かったのでしょう。このモデルは据え置き型とポータブルの双方の長所を活かした当時としては画期的なアイデア品でした。 本体はトップパネルに操作部を集中させた2バンドで単二電池3本で動きます。どちらかといえば地味なデザイン。スピーカーはアルニコの8cm、出力は0.5Wとこれまた普通です。 ところがこの本体は強力なアルニコの10cmスピーカーをバスレフに組み合わせた本格的なスピーカーボックスの上部にそっくり収納でき、ボックスの方にはAC電源とコードを利用したアンテナが付いていて、直ぐに据え置き型のラジオに変身します。 内部を見るとボックスの方にはアンプの様な増幅回路は無いのですが、写真4枚目にある様にフォスターのFE103クラスの超強力磁気回路と容量の大きなバスレフのお陰で、据え置き型にした場合の出力は2W迄増強されます。実際当時の据え置き型のラジオと比較して遜色ない大音量が出せますが、音量を上げると多少歪みが多い感じです。矢張り0.5Wのパワートランジスタでは限界があるのでしょう。低音は流石に伸びてポールモーリアのエーゲ海の真珠の低音部分の音階が充分判別出来ます。 良く考えられていると思うのはダイヤルライト部分でポータブル形態の場合はプッシュボタンでライトが点灯する一方で、据え置き型の場合は常時点灯する様になっています。据え置き型にした場合は音量を絞っても電源が入っているかどうかが分かるという事なのでしょう。 この個体は珍しく本体とボックスのセットで落札出来ました。ガリ音の塊、ダイヤルライト切断、全面にヤニ跡あり、という状態でしたが、整備後はガリ無し、ダイヤルライトは抵抗付LEDに交換、全面内外クリーニング済の状態で、そのまま気持ち良くお使い頂けます。 単二電池付き。ボックスのトップに突板の割れがあり、全オーナーのニス塗りが拙いという欠点が有り、完動品のセットとしては安めです。

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